「インビクタス/負けざる者たち」 こんな映画を観た13

 

 この映画は「いかにして人の心をつかむか」がテーマだと自分では思っている。

 「インビクタス Invictus 」とは「征服されない」とか「不屈」を意味する言葉。劇中にも出てくる、ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩。実話に基づいた小説を、クリント・イーストウッドが映画化。同監督の去年観た「グラントリノ」で感動したので、そしてこないだ映画館でもらったパンフも読んで、何だかおもしろそうだ。と思い、観て来ました。

 舞台は今、何かと話題の南アフリカ共和国。物語は1994年にネルソン・マンデラ氏が大統領に就任したあたりから始まります。

 27年も投獄され、そして釈放後、大統領に選出されたマディバ(マンデラ氏の愛称:氏族の名称と劇中で言ってた)。周囲は白人に対する復讐をするのではないかと戦々恐々としていたが、マディバは全人種の共生をめざす。

 ポイントは、いがみあう人たちをマディバはどう結びつけるのか。それはラグビー。奇しくも1年後にワールドカップが自国で開催される。国の恥とまで言われた南ア代表ラグビーチーム「スプリンボグス」を、国をひとつにまとめる手段として思いつく。そこで、代表キャプテンのフランソワ・ピナールを呼ぶ。

 ピナールには「がんばれ」とか「優勝してくれ」とか直接的な言葉はなく、英国式アフタヌーンティをふるまいながら、リーダーとして、どうやったら仲間たちをまとめ、力を引き出すことができるのか。などを話し合う。ここで普通の政治家だったら、きっとただの応援で終わってしまうんでしょう。そんなことは一切せずに想いを伝える。ここが超一流の政治家のすごいところ。

 きっとピナールにもいろんなことが伝わったのでしょう。その後、ワールドカップ開催中に訪れたマディバが長年収容されていたロベン島を訪問。当時マディバが投獄されていた部屋(日本的な表現だと、およそ2畳未満)に入りフランソワは衝撃を受ける。

 どうしてマディバは、27年も投獄されていて、心が折れたり、ぶっ壊れたりしなかったのか、そして釈放された後、復讐をすることなく「赦し」が行えたのか。その人間の器のデカさに感動。

 南アフリカ共和国アパルトヘイトネルソン・マンデラ大統領のこともほとんど知らないが、こんな映画みたいな(だから映画になったのか?)奇跡的な出来事があったなんて知らなかった。 そしてそのマンデラ大統領の人の心のつかみ方が、非常に興味深かった。

 ワールドカップのスタジアムの観客を2000人から62000人へVFXで増殖させる技術も見事だし、ラグビーの試合中の映像も見事。前半の大統領就任時とかの映像をわざと古めかしく見せ、そこにモーガン・フリーマンマンデラを差し込むのも臨場感があっていい。

 ネルソン・マンデラ大統領役は本人とも親交のあるモーガン・フリーマン。見た目もそっくりだし、これ以上の適役はないでしょう。そしてラグビーチームの主将、フランソワ・ピナール役にマット・デイモン。純真な熱い役をやらせたらピカイチ。そしてこれまた本人にそっくり。



 最後に、劇中でも出てくる、ラグビーといえばこれ。・・・なニュージーランドオールブラックスの試合前の儀式「ハカ」を紹介。ラグビーは全く知らない自分ですが、さすがにこれは知ってました。。。こんな人たちと戦いたくありません・・・(-_-;)


ガンバッテガンバッテ・・・と空耳っぽく聞こえますが、、、
ようつべサイトに飛ぶと英語で字幕つきです。


2010年の映画(アメリカ公開は2009年)。