「レオニー」 こんな映画を観た:22

 イサム・ノグチという世界的に有名な彫刻家がいます。自分の好きなアーティストの一人です。彼の作品を観に、いろいろ出かけたこともあります。

 彼は20世紀を生きた彫刻家で、作品は今でも日本にも多数残っています。彼は彫刻だけでなく、家具や照明器具や子供の遊具など、身近なものも手がけています。それらは今でも一般人の我々が買うこともできます。たとえば、かなり手ごろなものだとこういうものとか↓

【歳末セール】イサム・ノグチ Isamu Noguchi 「AKARI」 【歳末セール】イサム・ノグチ Isamu Noguchi 「AKARI」
販売元:ヤマギワ
ヤマギワで詳細を確認する


 名前の表記が野口勇でなく、イサム・ノグチなのは、父親が日本人、母親がアメリカ人だからです。今回観た映画はその母親:レオニー・ギルモアが主人公の物語。原作があり、それを元に監督が脚色を加えているそうです。伝記的映画。

P10201631

石の彫刻のような映画のパンフ。上映規模の小さい映画はなぜかパンフがこっているので、結構好きです。

 まず、率直な感想を言うと、なんだかとても心の温まる、いい映画を見たな~と思いました。

 アメリカの田舎の風景や家具などの調度品、20世紀初頭のクラッシックな衣装。そして明治時代の日本家屋や桜の風景などが美しく、とてもいやされます。

 そして、レオニーをとりまく人たちの温かさに心を打たれます。破天荒な生き方をするレオニーを受け止めてくれる母親、ヨネが用意した家での英語のわからない女中さん(吉行和子)、その後その家を出てから雇ったお手伝いさんの女性は、英語がわからない上に何だか文句タラタラな感じだったが、後にいい関係に。 そしてラフカディオ・ハーンの妻セツ(竹下景子)。英語も喋れ、パートナーが外国人だけあり、レオニーに対して心をくだいてくれます。

 人は、周りのサポートなしには生きてはいけません。レオニーは子どもが生まれた時は(そういえば劇中に2回も出産シーンがありました。珍しい。そしてかなりリアルでした)、母親のサポート、日本で住んでいた時は女中さんたちのサポート、そしてよき理解者であったセツもレオニーをよく助けてくれました。そんな部分もひしひしと感じました。

 この時代からすると(今もそうですが)、当然英語がしゃべれない人が大半でしょう。そんな中、この映画に出てくる役者さんは、英語を使うシーンが多くあり、なんというか、もちろん上手なんですけど、微妙に日本語英語な感じでかえってリアルな感じです。(ただ、私は英語はわからないので、なんとなくそう思った感じです)

 主要人物の一人、ヨネ・ノグチが詩人という職業ということもあり、なんだか格言的なポエム的なセリフが多く、美しい映像と相まって独特の雰囲気を醸し出しています。

P10201651

パンフの中身も「濃い」です。撮影秘話から、イサム・ノグチの情報もいろいろ書いてあります。ただ、香川徳島の位置は逆では?

 監督も女性、映画の主人公も女性ということもあり、女性向けの映画かも知れません。女性が観ると、きっと勇気がもらえるでしょう。

 あと、ストーリーが2時間ちょっとでレオニーの一生を描くので、すごい勢いでストーリーが進んだので、後半がはしょり気味かもと思うとろころもありましたが、CG処理が「ん?」とちょっと思うところもありましたが、とても満足な映画でした。

2010年の映画。