「グリーン・ゾーン」 こんな映画を観た:18

戦場サスペンススリラー。ひたすら走るマット・デイモン

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 まず、映画の冒頭にこの当時のイラクの情勢を軽く解説。少し世界情勢を教えてくれるのでありがたい。たぶん日本向けの配慮なんでしょう。そして本編スタート。

 (ストーリーはどこかのサイトで見てください。オフィシャルサイトもありますし。手間かけさせてしまって申し訳ありません。)

当たり前だけど、立場は人それぞれ。

 自分の感想としては、

 ・「真実」をつきとめて、占領後のイラクを守りたいロイ・ミラー(マット・デイモン)上級准尉とCIAのブラウン。

 ・アメリカの利益を守りたい国防総省のパウンドストーンとその手下の謎の特殊部隊チーム。

 ・ミラーに手助けをするイランの民間人フレディ。

 ・真実を突き止めたい女性ジャーナリスト。

 ・それからもう一つの立場の人物たち。

 それぞれ、人が置かれている立場によって、「正しい事」は変化するのだろうし、それぞれの人が「自分は正しい事をしている」と思っているのだか、それが衝突のもとになってしまう。

 もちろんこの映画はアクション、サスペンスとしてはとてもいい作品だが、この事ばっかり考えてしまっていた。

 ラスト間際にフレディが言ったセリフ。アメリカ人はどう思うのだろう。個人的には周囲に振り回されるこのフレディに親近感を持った。イラク国民なのにムリヤリ国外の軍人にいいように扱われているイラク国民。悪いのはイラク「政府」なのに。

 パウンドストーンの終盤のあの判断はパウンドストーン側としてはとても賢く、有効な手段だが、ミラー側として観てる観客からするとほんとに憎らしい判断。でもラストは「ほれみたことか!」って感じで溜飲が下がる。

 ふと、数年前のとある作家のスピーチの「卵と壁」の話のことを思い出した。「壁」に立ち向かう「卵」側であるミラーとう構図。最後の抵抗はなかなかよかった。

 そしてマット・デイモンはどの映画でも熱くてまっすぐな男。今回もすごい。真実を突き止めたいミラーを熱演です。

 戦争も何かとハイテクになり夜空からヘリで敵を簡単に追いかけることができる。軍服を着た人がパタパタパソコンをいじってるのはいまだに違和感だが、それはきっと偏見なのでしょう。こういう時代なのですね。

 戦場ものとして、緊迫感もあり、スリルもあり、もちろんそこの部分も楽しめます。いったいストーリーはどうなってしまうのか。というわくわく感も味わえま す。

 タイトルが「グリーン・ゾーン」なのはどういう意味なのか。戦争というのは「レッド・ゾーン(危険地帯)」にいる人たちじゃなく、「グリーン・ゾーン(安全地帯)」でのうのうとしてる人たちによって操作されてしまうからか。

 いろいろ思いながら、そして頭を使わないとうまくストーリーが追えない。でも緊迫感も楽しめる。そんな作品。

2010年の映画。