「トロン:レガシー」  こんな映画を観た:24

 

 1982年の当時、世界初の本格CG映画として話題となった「トロン」のリメイクではなく、なんと続編。自分がその映画をビデオ(懐かしい響き。)で観たのがたぶん1990年頃。自分もそのDVDを持っていたので、直前に予習をしてから観に行くことに。3D映像をじっくり楽しみたいので吹き替えで、IMAX版を観ました。


ストーリーは単純。前作のオマージュもあり。

 時は現代。前作のストーリーの数年後、主人公のサム・フリンの父親ケヴィン・フリンが謎の失踪を遂げる。その父親が代表をしていたエンコム社(今で言うマイクロソフトやグーグル的な会社)は他の人に乗っ取られていた。だが株主はサム。

 エンコム12というOSを発表しようとしていたエンコムは、今まで無料のOSを発表していたが、エンコム12は有料にして儲けるらしい。要は悪だくみ的な。

 それをよく思わないサムはエンコムに忍び込んで、エンコム12を世界に無料配信してしまう。エンコムに潜入する時の重い扉は前作でも使われていた。エンコム12の開発者は前作の悪者だったデリンジャーの息子。

 当時ケヴィンの仲間だった現在もエンコムの社員、アランのもとにポケベルに連絡が入る。今の若者にはポケベルなんてわからんだろ!って思うが、知ってる者にとっては、それが逆に時の流れを感じさせる。「ポケベルが鳴らなくて」なんて曲を思い出した。余談です。

 本当に初期のポケベルは、数字を何文字かしか連絡できず。その連絡のあった番号は、かつてケヴィンが経営していたゲーセンの電話番号。今は閉館。

 サムかそのゲーセンに行ってみると、ケヴィンの隠し部屋が見つかる。その端末をいじっていると…物質転換装置によって、サムはデジタルの世界に転送されてしまう。


(その現世までは2Dで、デジタル世界になってから3Dでストーリーが展開されます)


 前作でもあった、漢字の「門」のような形の乗り物に捕まるサム。そして背中に「ディスク(記憶装置兼武器)を付けられ、いきなりそのディスクを投げあう対戦ゲームに参加させられる。

 このデジタル世界では「プログラム」ソフトが人間の形をしていて、いろいろ動き回っている。作った本人(現世の人間)は「ユーザー」と呼ばれている。パソコン的な言い回しがこの映画の特徴。

 そこで現れるのが、ケヴィンが作ったプログラム。名前はクルー。外見は若い30代のケヴィン。デジタル世界のリーダーになっていた。ユーザーを敵視し、なにか企んでいる様子。

 サムは、ライトサイクルというバイクを操る団体ゲームでクルーたちと戦うことに。

 そのさなか、謎の美女が現れ、クルーにやられそうになるサムを連れて脱走。

 逃げた先には年老いた本物のケヴィンがいた。そこでケヴィンが失踪した理由を聞かされることになる。

CGはすんばらしいか、3D映画の意義は何だろう。

 冒頭の、ビルの合間をヒューンと飛んでいく3D映像でまずゾクゾクする。一応ディズニー映画なので、ディズニーロゴも3DCGに。

 ライトサイクルのバトルは、ステージが二層構造になっており、前作より複雑さを増している。その二層ステージを使ってのライトサイクルバトルの3DCGがすばらしい。ちょっと3D酔いした(笑)。ライトサイクルへの変身シーンもスローモーションで魅せる。カッチョイイ。

 この映画のBGM担当、デジタルミュージックの雄、ダフトパンクもちらっと出ていたが、あまり知らないけれど、普段からサイバーなメットをかぶって活動しているようなので、映画に合いまくり(笑)もちろん音楽もぴったり。

 でも中盤のデジタル世界を説明するくだりが長くて、若干ダレてしまった。

 そして終盤のライトジェットとのバトルは、ライトサイクルバトルの二番煎じなので、楽しいけど興奮は少ない。

 デジタル世界の色調をあえてフルカラーにせず、黒とブルー。黒とオレンジにまとめたのは、前作の世界観を保つ意味合いもあるでしょうし、とてもスタイリッシュ。フルカラーにしてしまったら、こんなSF映画、どこにでもあるでしょう。

 ケヴィン役のジェフ・ブリッジズは、前作での主人公。今は60歳くらい。クルーや回想シーンのケヴィンは30代の顔。それをそっくりさんを立てるわけでもなく、特殊メイクでもなく、CG技術で若返らせて描いてるとのこと。後から知ったが、恐らくこの映画で一番すごいCG技術は、それなんじゃあないかと思う。後から思い出してみれば、なんとなく不自然に見えないこともないが、でも全くわからん。すごい時代だ。

前作を知ってる人も懐かしく観ることが

 先にも書いたが、前作の世界はいろいろ引き継いでいて、サムがエンコムに潜入する重い扉のくだりは前作とあえて同じ。前作の悪者デリンジャーの息子がエンコムにいたり、ケヴィンのゲーセンは埃はかぶっているがそっくりそのまま。前作でケヴィンと共に戦ったプログラム「トロン」もいたり、「続編感」はしっかり出ている。

 ストーリーはハリウッド映画ではよくある、「ファーザー アンド サン(父親と息子)」の物語。主に3DCGを楽しむ映画でしょう。でもこのテの物語って、必ず人間の実社会を乗っとろうとする敵がいて、人間は情緒的、デジタルは非情緒的。という構図はいささか飽きた気もする。




こちらが前作です。このCGでも当時は最先端・・・。

2010年の映画。