「2つ目の窓」 こんな映画を観た:139

 奄美大島に住む高校生カップル、杏子と界人と、その二人をとりまく家族のお話。河瀬直美監督作品。

 杏子の母親は病気で長くなく、入院していたが、退院して最後を自宅で迎えることに。大勢の人たちに見守られながら、三線奄美の民謡を歌ったり。幸せな死に方ってなんだろう、そもそも生きる意味ってなんだろうと思ったり。杏子と界人はこんがり焼けていてずっと奄美にいる住人のよう。対して母親は真っ白で、死にゆく者としての対比と雰囲気がすごい。母親役の松田美由紀さんのその今際の際の演技が見事。

 界人の両親は離婚しており、父親は東京でタトゥーショップを経営。母親と同居しているが、母親には知らない男の影がちらつき、そもそも離婚に納得いってない界人はそれを良く思っていない。杏子は母親がシャーマン的なことをやってる人だからか、なんだか達観しているという感じだが、界人の方が思春期まっただ中の感じが。また、界人が「海は生き物みたいで怖い」的なことを言っていたのはなんとなく共感できる。常に形を留めず動いている感覚はなんとなく怖い。

 対照的な二人の家庭環境と、それから、島のちょっとした事件が物語のスパイスに、生きることと死ぬことと家族がテーマの作品。冒頭から山羊の屠殺のシーンが入り、生き死にがこの映画のテーマなんだよと強く印象付けられる。それにしても奄美の海のすばらしい風景が終始バックに流れているが、それよりも台風、嵐になった時の暴風雨の勢いがハンパない。関東で遭遇する台風なんざと比べ物にならない。

2014年の映画。

web拍手 by FC2