こんな映画を観た5: 「ヴィヨンの妻」

この作品は太宰治の原作。原作を読まずに出かけ、帰ってきてから原作を読み、そして感想を書いてます。

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フラッシュが光ってしまって、申し訳ないm(-_-)m

ストーリーは・・・
売れっ子詩人だが酒びたりで放蕩生活を送る主人公「大谷(役:あさのたたのぶ)」とその夫を支える妻、さち(役:まつたかこ)が、大谷がさんざんツケを払わずにしかも店の金を持ち逃げした小料理屋「椿屋」で借金の肩代わり(そういうつもりでもなかったみたいだが)に働くところあたりからストーリーは始まる。

さちは「椿屋のさっちゃん」として、気立てもよく、愛嬌もあり、小料理屋では人気を集め、店は大繁盛。    一方大谷はそんなパワーあふれるさちを見て、さらに鬱屈してしまい、話は困った方向へ・・・。

感想。
やはり、いろんなところで書かれているが、映画の最後のさちの言葉。これに尽きるでしょう。

女は幸福だとか不幸だとか立場がどうとかそんなのを突き飛ばして進むことのできる生き物。 男は周囲の立場やら何やらをムダに抱えて苦悩して生きていく。 その差が最後の言葉に凝縮されている。  

演技、セットがリアル。

内容はともかくとして、さち役のまつさんをはじめとする、登場人物がとてもリアル。むろいしげるさんやひろすえりょうこさんなどの女優陣も、戦後のくたびれた感じと言っては失礼だが、とても生々しくメイクされ、演技してるし、いぶまさとうさんのシブイ演技、つまぶきさんのいつまでもさわやか好青年の役。  その時代のセットや電車など、その時代を知ってるわけではないけど、その雑多な感じがすごい出ていて、それにばかり見とれてしまった。。  あと、何かと酒を飲むシーンが出ていて、飲めない自分にとってはよっぱらってぐでんぐでんになってる主人公や、小料理屋に入ってまず一杯。というのは自分にはいまだに理解度が薄い・・・。

原作との比較。

原作は文庫本で40ページほどの短編。そのためか映画ではストーリーや登場人物が付け足されている。自分は太宰作品はいくつか読んでいるが、別段大ファンというわけでもないが、原作と比べるとだいぶ最後の言葉にたどり着くまでの過程が異なるので、感じかたがだいぶ変わっている感じがする。

自分の読解力が足らないのか、映画のデキがすばらしいのか(たぶん両方。) 映画版のストーリーが付け足されている方が多少ドラマチックになっているので、わかりやすいし、原作のわかりづらい部分が省かれている。 あと大谷とさちの出会いも大幅に変更されて、さちの魅力をさらに惹き立てようとしている。

副題の「桜桃をタンポポ」は原作にはないが、劇中ではアクセントとして出ている。  桜桃って太宰作品にあったような気が・・・。  あと、映画の後半でさちが叫ぶ「グッド・バイ!」も作品あったよね・・・。

文章力が足らなくて、うまく表現できない・・・・・(>_<)

青空文庫」と検索すると、そのサイトで原作はタダで読めます(^^;)

2009年の映画。

おわり。