「インセプション」  こんな映画を観た:21

重厚で難解で・・・そして圧倒的な映像美の作品。

 満足感が久しぶりにすごかった映画。満足感は「グラン・トリノ」以来かも。

 レオ様とケンさんが出てるから観てみよう~って軽い感じで観てしまうと、ただ映像が凄くて楽しかったね~もしくはなんだかよくわからなかったね~で終わってしまいそうな映画。はじめから難解な映画だと聞いていてこの映画に臨んだが、チケットを買った時にもらったフリーペーパーにストーリーが書かれていて、それをずっと読んでいたのでさらにストーリーの途中で迷子にならずに済んだ。難解すぎて自分もどのくらい理解して感想が書けるかわからないけど、書いてみます。

ストーリー

 時代設定は現代。コブ(レオ様)は人の「夢」の中に入り、その人の頭の中にある「アイデア」を盗むことができる産業スパイ。

 コブは相棒と共に大企業家のサイトー(ケン・ワタナベ)の夢に進入し、アイデアを盗もうとするが、失敗に終わる。だがそれはサイトーが仕掛けたコブに対するテストだった。

 サイトーはコブにある仕事を持ちかける。それは大企業の御曹司の脳内に、とある記憶を植えつけること。これがこの映画「インセプション」というミッション。潜在意識の奥深くに入らねばならないので、非常に危険極まりない仕事。

 コブは諸事情で子ども2人を残したアメリカに入国できない。サイトーの報酬はコブをアメリカに入国できるようにしてやるとのこと。そこで仲間を集めてサイトーの仕事を受けることに。

冒頭のストーリーが「ん?あれ?」と思うけど後半でまた出てくるのでお忘れなく。

設定を早く理解する必要がある。

 本当におおざっぱに説明すると「(マトリックスオーシャンズ11)×5倍の凄さ」という映画かも。

 たぶん、観る側への配慮なのでしょう、映画内の主戦場である「夢」の構造、ルールについて説明をしながら進むストーリーになっている。だから観る側はそのルールを早い段階で理解する必要がある。

 ・夢の中では、夢の中でまた夢を見ることができ、そしてさらにその中で夢を見ることができ、その人の深層心理に訴えかけることができる。ただ、深い夢ほど不安定で覚めやすい。

 ・夢の中では現実より数倍~数十倍早く流れる。つまり、夢の中での数時間が現実では数分だったりさらに長かったり。そしてさらに階層の深い夢の中ではさらに時間が長くなる。

 ・誰かの夢に侵入するというよりは、誰かが作ったどこかの場所の「夢」にみんなが行く感じ。コブが雇った夢設計士のアリアドネが今回のミッションに対して、多重構想の夢を作った。 

 ・現実の世界で例えば横Gがかかった場合、夢の世界でもいきなり不自然に同じGが加わる。どっかから落っこちている途中では自分たちは無重力状態になるが、夢の中でも無重力状態になる。

 ・現実の世界に戻るには、夢の中で死ぬことによって戻ることができる。ただし、深い夢に入ってしまってて死んでも、現実の世界に戻ることができす、「虚無」という虚構の世界に居続けることになる。この「虚無」の世界もキーポイント。

アクションが秀逸。そして幾通りにも解釈できるストーリー。

 夢の中なので、何でもアリと思いきや、空を飛んだり銃弾を止めたりとかはなく、現実世界と同じように肉弾戦だったり銃撃戦を行っているが、上の階層の重力の影響を受けて、ビル内が回転しながら敵と戦ったりとか、無重力の状態での行動など、CGさえあれば何でもアリなんだろうけど、そのアクションのアイデアはすごい。

 コブが主人公なんだけど、たびたび夢の世界でコブのトラウマが登場しトラブルになる。この主人公のトラウマが結構やっかいだったりする。このくだりがこの映画の一つのポイント。

 前半はコブが仲間を集めながら、「夢」の世界について説明をするような感じになっているが、観客にしてみればこれはよかった。そして随所にバッキバキのVFXを入れて、説明がちな退屈な前半も飽きさせない。

 中盤以降は夢の世界での戦いになるが、この辺になると観る側も頭の中で時間軸を把握しながら観ていかないをいけないので結構大変。でもその分ぐっと集中できる。

 コブが今現実の世界にいるのか、夢の世界にいるのかの判別する方法など、細かい設定もしっかりしていて、しかも映画の重要なポイントになっている。 

 ラストはどう解釈すればいいのか、ハッピーエンドなのかアンハッピーなのか、人によってだいぶ解釈が異なるでしょう。

俳優は実力派揃い。

 コブ役はレオナルド・ディカプリオ  某豪華客船沈没映画の頃は、なんかチャラチャラして好きじゃなかったが、今は眉間のシワも味わい深い、ほんと重厚な、いい役者になりました。(←何様目線ですいません)

 サイトー役はケン・ワタナベ  中盤はあまり役に立ってなかったけど、要所要所はキチッと決めてくれます。それにしてもあのサイトー邸は一体何時代??

 夢世界の設計士、アリアドネ役はエレン・ペイジ 管理人イチ押しの若手・童顔・実力派女優。日本で言うと しだみらい ちゃんって感じ?ハリウッド女優はみなおしなべてセクシー&ビューティ路線の人ばっかりだけど、エレン・ペイジはきっと20年後もこんな感じでいられそうな女優さん。

 久しぶりにいい映画を観ました。

2010年の映画。