「ソーシャル・ネットワーク」 こんな映画を観た:26

 ※若干ネタバレあります。

 世界で5億人以上が加入している実名アカウントのSNSfacebook」の創始者の一人、マーク・ザッカーバーグ(以下、MZ)と、それをとりまく人々の実話を基にした映画。たった数年前の話をもう映画化してしまうのがすごい。日本でもこれから本格的に進出するんではないかと言われているSNS。まさに「旬」なネタ。




 世界最高峰の大学:ハーバード大学在学中の学生だったMZが、ガールフレンドにフられた腹いせに酔った勢いで作った、学内をハッキングして作ったWEBサイトがfacebook開発の発端。

 物語はMZたちの出来事とその後の顛末の訴訟シーンを行ったり来たりしながら進む。

 物語も中盤、MZとfacebookに目をつけた、ナップスター(何だか懐かしい)の創業者のひとり、MZが信奉するショーン・パーカーがMZに接近してくる。この辺から少しおかしな方向に流れる。

 実際のMZの実情はわからないが、天才な人の特長として、頭の回転が速いのか、とにかく早口。常に自分の興味のあることを考えている、それしか考えていない。なので周りを振り回す。自分よりすごい相手にしか興味を示さない。そんな印象をMZにも感じる。いいとかわるいとかではなく、そういう人が数年ごとに現れて、世界を先に進めるんではないかと思う。

 


 露骨な表現をしてしまうと、モテたい欲求と天才の頭脳が重なると、時としてもの凄いことになるんだなと思った。そして自分の思っている以上に強力な力(=この場合は「カネ」になる力)を持ってしまったMZは知らない間に周囲の大人たちの欲に巻き込まれていく。

 単純なサクセスストーリーでもなければ訴訟の話でもないし、友情を失ってしまった話とも違う感じだし、全部まとまって入っているとも言える。単純な社会派映画とも言えないまさに現代的な?映画です。マイケル・J・フォックスの「摩天楼はバラ色に」だった頃が懐かしい・・・。「シリコンバレーは血の色に」・・・ではダークすぎますしね。センスもない。とにかく実話というのがすごい。ビジネスチャンスはどこにころがっているかわからない。

 そして出演者たちのトークのスピードがすごい。字幕はちゃんと訳しきれているのかどうか気になる。まさにネットの時代のスピード感を表しているよう。
 
 自分は天才ではないし、ベンチャービジネス、ネットビジネスにはあまり興味がないが、先んずれば人を制す。的な考えは理解できる。世の中、特にネットビジネスはスピードが重要だよというのもわかる。そしてそれだけではだめなんだということもわかる。

 ラストシーンのF5キー(・・・だと思う)のプッシュを繰り返すMZが、冒頭のシーンとリンクしてなんだか切ない。行きつく先はやっぱりそこなのか。監督の言いたいことはそれなのか。



 監督はデビット・フィンチャー「セブン」や「ファイトクラブ」、「エイリアン3」など、なんだかじめっとした感じの映画を撮る人なのかな?と勝手に思っている。「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」は観てないけど、路線が変わったのかな?
 
 役者については・・・ショーン・パーカー役のジャスティン・ティンバーレイクが気になった。自分もよく聴いていたミュージシャンのJTがどんな役どころで出てくるのかと思っていたが、思いのほか重要な役どころでした。MZを巻き込む、とてもノリの軽い感じ、チャラい感じがとてもよく出ていたと思う。

2011年の映画。(米公開は2010年)