「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 こんな映画を観た…お家で:5

 正月明けにTVでやっていたのを録画して、なぜか3週間寝かせてから観ました(笑)TVだからだいぶカットされていと思うので、ちゃんとした感想を書けるのかは疑問。

 これまた、何で劇場で観なかったんだと後悔した映画。すばらしい。

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 ブラピ扮するベンジャミン・バトンは1918年に80歳の肉体で生まれ、普通の人間とは逆にどんどん若返ってゆく奇妙な身体を持った男。そのベンジャミンのさまざまな人達との出会いと一生を描いた映画。

 ベンジャミンが一生をかけて書いた日記を、現代で老婆になったヒロインのデイジーケイト・ブランシェット)の娘が、病床(と老衰)のデイジーに読み聞かせる形での回想形式のストーリーテリング。映画全体がとても丁寧に作られており、第一次大戦後からのアメリカの風景と共にストーリーは進むが、画面全体がとても美しい。

 いろいろな人たちとの出会いで成長してゆくベンジャミンだが、ストーリーの「核」はやはり幼なじみのデイジーとの出会いと別れ。出会って別れてまた出会ってを繰り返す。徐々に見た目の年齢差は縮まり、ちょうど中年の頃、見た目も同じくらいの年代になる。そして二人で暮らし始めるが、その時間はとても短い。すぐにベンジャミンは若返り、デイジーは歳をとってゆく。他のカップルと同じように一緒に歳をとることができない。とてもせつない。それにしてもブラピとケイト、世界最高峰のルックスを持つ二人が画面に映えること映えること。これもこの映画の見どころのひとつ。

 ストーリー後半のベンジャミンがこれからの人生を危惧してデイジーのもとから去ってしまうあたりからエンディングへ向けて徐々に辛い未来が待っている。見た目は10歳くらいで中身は認知症になってしまっていたベンジャミンを老人のデイジーが保護して、そして自分が誰かわからないままどんどん若返ってゆくベンジャミンをデイジーが支えるシーンがさらっと流れるが、ある程度予測はできたストーリーではあるし、二人もそういう人生になるのは覚悟していただろうが、とても悲しい。

 普通なら悲観するであろうベンジャミンと育ての黒人の両親たちだが、悲愴感は全然ないのがこの映画がさらりと見られる要素のひとつなのではと思う。 ベンジャミン自体の人間性がとてもさわやかでそして老人からスタートした人生だからか、達観したような生き方が観ていて気持ちがいい。

 人として経験を積んだ中年の頃に、肉体がピッチピチのピークを迎えることができるのはある意味理想なんじゃないかなんて思ったり。

 デイジーの子どもの頃をエル・ファニングちゃんが演じていた。あのダコタ・ファニングの妹さん。ものすごい青い瞳が印象的だった。あんな青い瞳は見たこと無い。

2009年の映画。