「戦火の馬」 こんな映画を観た:52

 自分は競馬もやらないし乗馬も嗜まないので、馬は自分にとっては縁遠い存在ですが、またがって走る一体感が他の動物とは違うのかなと知らないなりに思います。

 もの言わぬ馬が、さまざまな人たちとの交流で想いを託され、出会いと別れを繰り返し、馬視点で流れるストーリー。舞台は第一次世界大戦前後のイギリスからスタート。監督は巨匠:スティーブン・スピルバーグです。

Warhorse049

 物語は第一次世界大戦を境に、主人公(主馬公?)ジョーイがいかにして育ってゆき、戦争に駆り出されたシーンへの伏線がちゃんと張ってあったのがよかったです。

 最初はだだっこだったけど、主人公のアルバートとの交流でだんだん穏やかになり、それからサラブレットなのに農耕馬と同じ作業をさせられたので、その農作業のため足腰が鍛えられたりとか、

 荷車を引くための浮き輪みたいな馬具を装着させられるシーン、イヤがりながらなんとか装着させられ、それが戦争に入ってから同じようなシーンへの伏線になってたり。

 個人的に好きだったのは、ジョーイの親友馬になる黒い馬とのやりとり。黒い馬の名前を忘れたので、仮に黒王号と名付けよう(笑) 屈強さで言えばジョーイの方が黒王号の名にふさわしいけど、私が勝手に名づけたのでそれはそれとして・・・。

 馬なのでお互い当然にセリフなんかないけれど、この2頭の友情にはグッときた。まずジョーイがイギリス軍に引き取られ、真摯な大尉さんの持ち馬となる。そこでジョーイは黒王号と出会う。

 黒王号がジョーイを「フン!新参者が!」な感じで相手してたりの中、まず訓練で競争をおこない、デッドヒートの末、ジョーイが勝ち、「どうだ!」と言わんばかりに黒王号の鼻先をつっついたり、

 黒王号の飼い主になったイギリス軍の大尉が倒れ、ドイツ軍に引き取られ、馬車要員になるシーンで、黒王号が前述の浮き輪型馬具を嫌がってるのを、ジョーイが「黒王号、こうやってやるんだよ・・・」とばりに見本として馬具を自ら着けようと進み出るシーンとか、

 その後、重い大砲を引かされるハメになった2頭。そのシーンの冒頭には馬の死体が山積みになってたり、「もって1〜2ヶ月だろ」と兵士たちのやりとりがあったりで、過酷な状況で酷使される感じがプンプン漂う中、大砲を引いていたうちの1頭が倒れてしまい、早速黒王号が選ばれる。

 だけど黒王号はケガをしていてあんまり体調もよくない。でも上官はムリヤリ引かせようとしたところを!ジョーイが後ろからドドドと駆け寄ってきて、「オレ、元気ですぜ上官!!」と言わんばかりに替わりを申し出るしぐさをするシーン。その後右前脚を痛めながら丘の上まで砲を引ききる。熱い馬友情!!

 その後結局黒王号は倒れてしまい、「ジョーイ、オマエと過ごした時間は短かったけど、悪くなかったぜ…ゴホゴホッ」と言わんばかりの目の黒王号(想像)…そして息を引き取る。倒れた黒王号をいとおしそうに鼻先でなでるジョーイ。 スピルバーグさんよ、馬に演技させるなんて…ヤルな!!

 結果、人間はいろんな思いをジョーイに託すのだが、勝手に母親から引き離されたり売られたりこき使われたり愛されたり、ジョーイはいったい人間たちのことをどう思っているのだろうか。

 戦争のシーンはプライベートライアンを彷彿させるようで見応えあったり、戦火をくぐり抜ける馬の疾走シーンもたぶんCGだと思うけど観てて迫力ありました。

 ジョーイの馬体は戦場では泥だらけだったで、逆に普通の時のお馬さんのボディって美しいんだなぁ~と思いました。あとアヒルがおもしろかった(笑)

2012年の映画。