「テルマエ・ロマエ」 こんな映画を観た:57

コミック(現在4巻迄発行・継続中)が原作の風呂コメディ。原作を読んでから観ました。

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ざっくりストーリー

 古代ローマの浴室技師ルシウス(阿部ちゃん)はローマ帝国の浴室技師(風呂・浴場専門の建築家?)。仕事をクビになり、妻ともうまくいかず悩んでいたところ、行った先のテルマエ(公衆浴場)で湯に浸かり、潜ってみたところ不思議な穴が開いており、そこに吸い込まれ、現代の日本の浴場にワープ。そこには古代ローマ人ルシウスも驚愕する現代日本の風呂技術(日本人としては当たり前の文化)があった・・・。

感想

 まあ、原作がコメディなので何でもアリなところがあるので、非常にハードルの低い、誰でも見ることのできる面白さは出ていたと思う。

 「笑い」ポイントは、生真面目なルシウスのカルチャーギャップショック。ルシウス=阿部ちゃんは非常に当たり役なんでは?と思う。ローマ帝国への愛国心、皇帝ハドリアヌス(市村さん)への忠誠心は非常に強く、そのため日本でのさまざまな文化への驚き、そして落胆がコミックそのまんまでよかった(笑)その辺のツボはよく押さえてた感じ。映画にすることで引き立つような演出になっている。あとは明らかに「お笑いです」というポイントもあったりで、かなり割り切った作りになってるので、製作者的にはやりたいことがハッキリ見えていたんだと思う。そういう指針が決まっている映画っていいよね。

 そしてローマ帝国の巨大セットはなかなか見応えがあった。日本ではあんなセットは組めないだろうで、かつて「ベン・ハー」でも使われたイタリアの有名ロケ施設を使ったようで、あれがなかったらダメダメな映画になってたんでは。非常に「映画」感が増した。オペラは詳しくないけど、ふんだんに使われていて、これまた映画感を引き立てる。

 ただ、後半になると急にシリアスな方向へストーリーが舵を切る。原作は終始ユルい感じだったので「あれ?」という感じがした。この辺は好みが分かれるかも・・・。でも全ては「原作はコメディです!」と考えると多少アラがあってもいいのかな?とも思う。

原作との比較

 まだ4巻までしか発行されていないので、まんべんなくストーリーは盛り込んでるな~という感じ。上戸さん扮する漫画家志望の女の子は原作には存在せず、原作者ヤマザキマリさんを元に創作されたんだと思う。この上戸さんをどう思うかがこの映画を気に入るかどうかかな?上戸さんは女優さんの中でもまさに「平たい顔族」のヒロインにふさわしい顔立ちだ。

 原作をもとに分解・再構築されたものが映画だとすると、映画の評価って難しい。いいとこどりともとれるし、原作ではあまり映画的なヤマ場が無いのでちょっとムリヤリヤマ場作りました的な。ここがずっと続いていかねばならない「コミック」と、2時間でまとめ、作品にしなければならない「映画」の違いなのかな?と思った。でも後半の展開は逆にこれからコミックの方でやろうとしてたことかも?とも思った。

 映画全体は丁寧に作られた感じがしたけど、原作の時系列がムチャクチャにされていたのがどうも気になる・・・。そして続編はあるのでしょうか?もう原作1~4巻のネタはほぼやりつくしたけど(笑)

2012年の映画。