「東京家族」 こんな映画を観た:82

現代にリメイクする意味。(一部ネタバレしています)

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ざっくりストーリー。

 だいたい東京物語と一緒です!現代の巨匠:山田洋次監督がリメイクしました!

感想。

 だいたい東京物語と一緒です!(笑)

 1953年公開の東京物語を現代にアレンジ…と書くのは簡単だけれど、こんな地味なストーリーをちゃんと映画として成すのは簡単ではないんじゃないかと。60年前のリメイクだが、自分は東京物語をたったの1週間前に初めて見たクチなので、時を経て想いを積み重ねたみたいのはなく、あの独特なタッチの小津版を、どうリメイクしたのかが主に気になった。

 かつての紀子と京子の役柄を、昌次と紀子とユキのミックスで分配してる感じ。妻ブッキー君演じる昌次は、フリーターに近いし感情激しいしなんだか周りとは浮いた役どころ。紀子はあおい優ちゃんがとてもいい人役で演じている。ずば抜けて美人とは思わないが(超絶失礼)、二人ともとてもいい役者さんだなぁ。

 その昌次と紀子の出会いが震災ボランティアだったり、他にも震災の影響が映画内の端々に見かけ、若干こじつけ感も無くも無いが、このくだりは何十年後の後世に観る人のためにも必要だろう。

 とみこと紀子のシーンは、急に善良な方向に舵を切ったな〜感はあるけれど、適度に人情味あるシーンやコミカルなシーンを入れるのは山田洋次監督ならではなのかな。まさか林家正蔵師匠の「どうもすいません(∀`*ゞ)テヘッ」が観れるとは思わなんだ。あれは意図的なのかな、意図的でしょうね。さすがに右手をグーにして額へ持ってかなかったけど(笑)

 すき焼きを囲むシーンや、とみと紀子の昌次の部屋での会話シーンや、とみが荼毘に付され、故郷に戻る過程のシーンなどがスパっと大胆に省略されており、山田洋次監督ってこういうやりかたの人(内容によっては省略して、次のシーンで理解させてしまう)なんだな〜と観ていた。

 周吉ととみこが厄介払いされるホテルは小津版だと箱根だが、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルへ。箱根の場合は安宿でうるさくて寝れん。今作は高級ホテルなんだらそんなことないのかなと思ったら、アジア人観光客のために結局うるさくて眠れんというのもなんだか時代を感じる。別に狭くても子供たちと一緒の家で眠れるのを欲してる老夫婦と、狭い家より高級ホテルの方が喜ぶだろう&正直家に泊まられるのはうざったいと思っている子との思いのすれ違い。

 結局、現代人は、大人は忙しすぎる。でも心は亡くしちゃいかんし、父母は大切にせなかんと思う。けどそんな単純な話、こんな抑揚のないストーリーの映画を観て、例えば若者・子どもはなんも思わんだろうけど、人生の大事なことは親やその親が身を持って教えてくれるんだぞとも感じた。

 いろいろ書きましたが、一定の歳になったら日本国民全員に観て欲しい作品です。

 2013年の映画。