「許されざる者(2013日本リメイク版)」  こんな映画を観た:104

善が悪で、悪が善で

Yurusarezaru01

ざっくりストーリー

 明治時代初期、人斬りで名を馳せた男が、未開の北海道に流れ着きひっそりと暮らしていたが、賞金稼ぎのために昔の仲間から呼び出され、迷いながらも再び昔の稼業に。だが10年近くブランクがある。

 監督は悪人やフラガールのリサンイルさん。

 1992年のクリント・イーストウッド監督作品のリメイク。私はイーストウッド版は観ていませんので、その辺の比較は全くできません。

感想

 原作が原作だけあって、なんだか時代劇なのにウエスタンっぽい。当時の北海道はぜんぜん開けてないし、先住民のアイヌもいる。女郎もいるし、馬に乗り、銃は撃つけどカタナもある。うまいことこの時期、この地を選んだもんだ。

 私の中でウエスタン映画というと、バック・トゥ・ザ・フューチャー・パート3くらいという貧弱なウエスタンリテラシーだが(笑)、村に入ってゆく時にカメラがグーンと引いていくシーンなんざまんまBTTF3だ。BTTF3自体が何かのウエスタン映画のオマージュなんでしょうけど。ややこしい構造。

 活劇的でバッタバッタ斬ってゆく映画ではなく、男たちが自分の生い立ち、生き様に苦悩しながら戦ってゆくのが印象的。一方で女郎たちも懸命に生きている。小池栄子さんの眼力鋭い演技がド迫力。怖い(笑)。グラビアやってた頃が懐かしい。演技だけでも充分輝いてる。栄ちゃんもいつの間にかいい役者さんになったなぁ。アイヌの若者役の柳楽君はまったく誰かわからなかった。変わりすぎ(笑)だがいい役者さんになったなぁ。(2回目)

 土地は荒れて作物もロクに育たず、冬は雪深いこんな(といっては失礼だけど)所になんで人は集まっているのか。色んな事情で本土からおんだされている人が集まっているような雰囲気で、全体的に仄暗い。

 途中、謙さんが食べていたまんじゅうというかおむすびのできそこないみたいなどうみてもまずそうな物を食べてるシーン、それだけでこの地が荒れてる、痩せてるんだなと実感。だけど北海道の原風景はとても美しい。大雪山は富士山のよう。

 悪者役の警官の佐藤浩市さんの暴力シーンがハンパない。ほんとに痛そう。國村隼さんや渡辺謙さんが本当に気の毒なくらい。國村さんや佐藤さんにくっついてた腰巾着な作家の人は、あまちゃんや半沢さんにも出てるみたいで、売れっ子だな。

 謙さん演ずる伝説の人斬りもブランクがあるせいか、バッタバッタ斬るというよりは勢いで、迫力でのしてる感じ。カタルシスは少ないのはそれがこの映画の主目的ではないからだろう。

 いっぱい人を殺している以上、その後まっとうには暮らせないだろうし、もともとあった自分のスキルを捨てて他の道を選ぶのは容易ではないのかなと。謙さんもつらいし柄本さんもつらい、柳楽君もつらい。(役名でなくそのまま書いちゃったけど。)いろいろと考えながら観ていた。

2013年の映画。

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