「ビフォア・ミッドナイト」(字幕) こんな映画を観た:123

ああはなりたくない二人になってしまった。

Bm01

ざっくりストーリー

 ビフォア・サンライズから18年後、ビフォア・サンセットから9年後、また二人の時間が動き出す。18年越しの三作目。とりとめのない会話劇。会話のみで成り立っている稀有なシリーズ。

感想。

 まさか続編が作られていたとは驚き。サンセットのその後、なんと二人は結婚していた。(厳密に言うと同居という感じで、結婚はしていないみたい)

 冒頭の空港シーンでは、ジェシーが、バカンスに来ていたジェシーセガレを見送る。離婚して母方に住んでいるせいで、たまにしか会えない、年頃のセガレになにかと世話を焼くジェシーセガレは明らかにうざったがっている。ジェシーの悩みのタネがひとつ。今後の伏線に。

 空港を出るとセリーヌが車で待っている。ぱっと見の電話をかけている全身のショットでの、腰の肉付き具合が時代の流れを物語る。後部座席には双子の女の子が寝ている。と、ここまでで、9年のあいだに何があったか理解させるのがうまい。説明ナレーション不要。

 で、トヨタのRAV4?に乗って目的地まで移動。この間14分間ほど、ずっとワンショットで二人の会話劇が続く。すごいねこれ。これぞビフォアシリーズ。仲が良さそうなのは相変わらず。なんてことはない会話がとめどなく流れる。シカゴに行く行かないでもめている。ジェシーはどこにいてもできる仕事だが、セリーヌの仕事はそうはいかない。これが後々まで尾を引く。

 目的地の別荘では仲間が待っていた。ギリシャの海の見えるコテージがなんとも優雅。ウイーン、パリときて今回はギリシャか。コテージではいろんな世代の夫婦、元夫婦、カップル。食卓を囲んでまたとにかくしゃべるしゃべる。下ネタ多い(笑) そこでもジェシーセリーヌのなれそめを会話の中に盛り込み、ちゃんと9年間での出来事を説明してくれている。

 で、ホテルへの道中もホテルに着いてからもその後もずっと会話している。だが昔と比べ現実感が増しており、会話内容もすんなりいかない。どんどん重くなる。ホテルでの会話でついに…の会話の流れが自然で、男女の見解の相違あるある感がハンパない。

 夢見る頃は過ぎ去って、現実と向かい合わねばならない。そんな中で現実的な着地を見せてくれるのか…と過去2作とはだいぶ趣が異なってるけど、それこそが18年間、歳を重ねた意味なのではないかと。無言でいれば時が解決してくれるわけではなく、お互いのコミュニケーションがあってこそカップルの理解は深まる(時にその会話がお互いを傷つける)んではないかと。

2014年の映画。

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