「野のなななのか」 こんな映画を観た:133

 北海道芦別市にて鈴木光男という男が亡くなる(享年92歳)。その親族が集まる中、謎の女信子が表れ、そして光男の過去に光が照らされてゆくお話し。なななのかとは四十九日のこと。

 「この空の花 長岡花火物語」「So Long」の流れを汲む。大林宣彦監督作品。上映時間2時間51分!もうちょっと短くしてくれよ(笑)と思うが、この長時間映画を組む監督の情熱と体力が70歳越えてる人とは思えない。観られるだけで幸せだ。

 前半は会話劇な感じで鈴木家の状況説明などに終始。その会話劇のスピードが尋常じゃなく早い。カット割りもすごい。正直、体力のある時でないとついていけない。

 鈴木家の面々の会話スピードもすごいが、光男も冒頭で亡くなってるのに会話している。もちろん別の話を続けているのだが、これまたスピードが早いし、結局ラストまでずっと話に加わっている。演ずる品川徹さん(78)の負担がキツイ(笑)

 「この空の花」で慣れてたとはいえ、このままのスピードでいったらこっちがしんでまう!と思ったが、中盤、葬儀が始まるあたりからペースは落ちてくる。その代わりに光男の過去が徐々に明らかになってゆく。

 そこからがまた入り組んでて、生者と死者が入り混じって、あまり馴染みのない終戦直後の樺太の話も入ってきて、ミステリーのような家族の話のような。とても1回では理解できない。

 でも芦別の美しい自然(というか芦別の宣伝も兼ねてる作品って気が(笑))、劇中にずっと流れているハーモニカを始めとするBGMとで、巨大な大海原(過剰な情報量の波)に飲み込まれたような、そんな気分。

2014年の映画。

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