「幕が上がる」  こんな映画を観た:148

Kure01

ストーリー

 とある高校の弱小演劇部の2年生、さおりは、3年生の卒業に伴い、ムリヤリ部長を押し付けられる。

 そんなある日、美術の女先生が実は元高校演劇の女王な人だったことを知り、さおりは顧問になってくれとせがむ。

 平田オリザ原作小説、「桐島、部活辞めるってよ」の喜安浩平脚本、「踊る」シリーズの本広克行監督作品。アイドルグループ、ももいろクローバーZ主演。

感想

 原作を読んでから臨みました。オリザさん原作の登場人物自体が、なぜだかももクロのメンバーにかなりマッチしている。5人それぞれにハマりそうな登場人物があてがわれ、特にがるる役の高城さんはこれ以上ないハマり役である。

 一方で、強豪演劇部からの転校生、中西さん演じる有安さんは、転校の理由のひとつが滑舌であると、原作から変更されており、実際の有安さんの滑舌のニガテさを加味した脚本になっている。その辺のももクロ事情を知らない人が観たら、「なんでこんな滑舌の悪い人が強豪演劇部のエースだったんだろう」と思ったかもしれない。前半のハイライトである、夜の岳南鉄道のホームのシーンは、ももかなこチームでいい出来だった。

 また、高校は共学だが、部員は全員女子のみ。アイドル映画の側面も兼ねた作品なので、原作にはいた男子部員がいても、観てるモノノフ男子はもやもやしてしまうので、共学ではあるけれど、男子はいなくていいのかもしれない。

 ももクロのメンバーの中で、当時現役JKは佐々木さんだけだったけど、残りの4人もみんなキャラも顔立ちも幼いので、女子高生の役でも全く違和感がない。高校生ではない人が高校生を演ずることで一番重要なのはそこだと思う。こんなことを言っては失礼だが、5人はずば抜けた美人さんではないので、女優さんが女子高生演じましたではなく、リアルな女子高生感が感じられた。だから開始5分観て、勝った!と思った。笑   脇役の後輩たちも年齢は上だったりするけど、メイクで幼くまとめてた人も見受けられた。

 ハイライトは肖像画のシーンと、合宿稽古のシーンだろうか。自分は演劇自体も観たことないし、ましてや稽古のシーンなんて初めて観たので興味深かった。肖像画のシーンのカメラは動きすぎなんじゃないかとも思ったけど。そして、ピークは後半のさおりの一人語り。これが本当にOKテイクなのかと思うような、モタっとした語りではあるが、これが逆に等身大の女子高生を現してるんだと思う。

 脇を固める俳優さんたち、黒木華さんやムロさん、志賀廣太郎さんも実力者揃いで映画の質を高めてる。華さんは昭和な顔立ちで柔和な役ばっかりなのかと思ったけど、今作はわりと荒っぽい役で、実力のある人はなんでもこなせるんだなと感じた。ムロさんは変態仮面の敵役のイメージが強すぎて。 笑

 そしてラストは5人はまたアイドルに戻り、ジ・エンド。ここが普通の青春映画とアイドル映画の違いなのだろうか。もうちょっと観ていたかった気もするけれど。

 あとは、モノノフ向けのサービス、カメオ出演が濃過ぎるあたりがちょっと気になったけど、全体としては、バッチリ青春映画してた。恋愛を描かずとも青春映画って成り立つんだな。

2015年の映画。

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