「きみはいい子」 こんな映画を観た:149
現代の社会問題、児童虐待、いじめ、学級崩壊、独居老人等を群像劇スタイルで描く。
「そこのみにて光輝く」の呉美保監督作品。
感想
そこのみにての呉監督なら間違いないだろうと、MADMAXと天秤にかけてまずこちらを選んだ。 笑
児童虐待シークエンスの尾野真千子お母さん、子役の演技も凄いし、虐待のシーンも生々しい。映画とはわかっていても観ていてつらい。街で子どもを恫喝してる親を見かけた時とおんなじ気持ち。池脇ちーちゃんお母さんが一筋の光。ちーちゃんのママ演技がものすごい板についてる。そこのみにての時のやさぐれた雰囲気、中年体型も凄かったけど、母親としての演技もこれまたすごい。
学校のシークエンスの主人公は高良君演ずる小学校教師。いじめに学級崩壊に育児放棄の児童もいて、今の学校はこんなんばっかりなのか? でも高良君は最初は教師の仕事に嫌気がさしていたが、根がマジメで、逃げずに問題に立ち向かう。でも立ち向かえば立ち向かうほど例えば教師仲間が事なかれ主義だったりとか、モンペの攻勢があったりとか、壁が多過ぎる。真っ向からぶつかろうという人ほど生きづらい世の中。
尾野さんも高良君も小さな救いによって新たな一歩を踏み出す。子どもは等しく幸せになるべきだし、産まれてくる子は親を選べないから、親は精一杯、子を愛すべき。そんなメッセージの作品。
その他、自閉症の子と独居老人のシークエンスもあり、これまた社会の暗い影を映しながらも、希望のある形にまとめている。
最後はなんだかファンタジーっぽくなってたけど、でも一筋の光でもないと、観ていてキツすぎる。だからいいんじゃないか。
2015年の作品。