「Dear ダニー 君への歌」 (字幕) こんな映画を観た:154

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 ヒット曲1本で荒稼ぎしているベテランシンガーが、過去からの1通の手紙で新たな人生を歩もうとする話。アル・パチーノ主演。

 「Baby Doll」というヒット曲1本で、40年歌手活動をおこなってきたダニー・コリンズ。ものすごい稼いでいるが、楽屋ではクスリをやったり、酒を飲んだり、私生活では若い女と寝ていたり。楽屋に、ハイランド・パーク18年があって、なんだかうれしかった(余談)。欧米のミュージシャンは長い長い過酷なツアーをこなして生計を立てているイメージが私にはある。

 そんな中、マネージャーが1通の手紙を持ってくる。デビュー当時、ジョン・レノンからもらうはずだった手紙。それを気に、人生をやり直そうと、真摯に生きようと、ツアーをキャンセルし、長年音信不通だった息子に会いに行くことに。

 息子の家の近くのヒルトン・ホテルに無期限で泊り、部屋に強引にスタインウェイのピアノを搬入し、ホテルの支配人のマダムをナンパしながら、ベンツに乗り息子宅へ向かうが、息子の娘はADHDを抱え、息子の妻は妊娠中。息子も病気を抱えとても厳しい状態。それをダニーはとにかく金で解決しようとする。それだとタダのイヤなやつに見えそうだが、尋常じゃない金の使い方は、それら全てを凌駕し、ダニーがイイヤツに見えてくる。笑 実際、お金をかけるためにちゃんとダニーはリサーチなどはおこなっているので、その辺で誠意が見える。

 一方で、ヒルトン・ホテルでは新曲の作曲を作り、支配人のマダムとも仲良くなり、いざシークレットライブで新曲を披露。だが集まったファンは「Baby Doll」を求めている。さあどうするのか。

 この作品は、見せ方がうまいなと感じた。冒頭では、ダニーは常に酒を飲んでいる、一方マネージャーは手にペリエを持っているショットがたびたび差し込まれる。何かの対比なのかなと思ったら、後半へのフリだった。

 そして、ダニー本人は知らずに、マネージャーのはからいで巨大な看板が街に設置されているシーン。H4×W10mはありそうな巨大な看板ではあるけれど、下に設置されている投光器はボロボロに錆びているし、看板の内容は本人にとってはどうでもいいような、CDのベスト盤の宣伝、しかもVol.3という。ガッカリ感をこれでもかってくらい表した看板 笑

 あとは息子の子どもをトイザらスに連れてくショットの直後に、大量のおもちゃを買って帰ってるシーンへつなぐ。無駄がない、いい作りだなと思う。

 それらを絶妙なタイミングでジョン・レノンの名曲たちが盛り上げる。あらためてジョン・レノンていい曲書くな〜と感じた。ソロアルバムでも買ってみよう。

2015年の作品。

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